2018 球種別ベストヒッター

記事引用元:MLB.com, Matt Kelly, These are the best hitters for every type of pitch, Jan. 12, 2019 https://www.mlb.com/news/statcast-best-hitters-by-pitch-type-in-2018/c-302569282

2018はヒット数を奪三振数を上回った初めての年であり、打率平均は.248となった。そんな中、Statcastの発達により、球種別の打率等の測定が可能となり、各投手は打者の得意/苦手球種を把握することで、より有利に投球を展開できるかもしれない。
ここでは、2018シーズンにおける球種別xwOBAのTop 5ランキングを発表する。wOBAとは、ご存じ、WARの打者測定値の基礎となる指標であり、四球、単打、長打にそれぞれ統計学的に定められた得点価値を乗じて(重みをつけて)機会数で除して算定されるものである。xはexpectedのことであり、三振、四球の割合やコンタクトの質(打球速度と打球角度)も加味して計算するとのことであるが、詳しくはよくわからない。(xFIPで外野フライを疑似本塁打にみなして計算することと同じで、過程を結果に調整するようなことだと思う。)
抽出条件:ファストボール(4シーム、2シーム、シンカー)は200球以上、変化球(カットボール、スライダー、カーブ、チェンジアップ、スプリット)は150球以上。各球種につき、200~400の打者が該当者となった。

4シーム
.538 — Luke Voit, Yankees
.504 — Mookie Betts, Red Sox
.493 — Matt Kemp, Reds and Mark Trumbo, Orioles
.491 — Juan Soto, Nationals
MLB average: .347 xwOBA

Voitの最後2か月の成績は打率.322、出塁率.398、長打率.671、wRC+ 187と圧倒的である。その強さはこのファストボールへの強さに起因していた。なお、変化球のxwOBAは.332と高くない。
Bettsは、2018シーズンにファストボールへの対応力も高め、レフトへの引っ張りも上達した。

2シーム・シンカー
.551 — Khris Davis, Athletics
.505 — Gleyber Torres, Yankees
.483 — Rhys Hoskins, Phillies
.480 — Carlos Santana, Indians
.473 — Bryce Harper, free agent
MLB average: .349

K Davisの48本のうち16本は2シーム(シンカー)から打っており、さらに、幅広い2シームの速度に対応できることが特徴である。(Richardsの97mphからColonの86mphまで。)

カットボール・スライダー
.399 — Eugenio Suarez, Reds
.397 — Mike Trout, Angels
.373 — Ryan Zimmerman, Nationals
.370 — Betts, Red Sox
.370 — Kendrys Morales, Blue Jays 
MLB average: .267

Suarezは、被打率.204のMax Scherzerのカットボールを、打球速度109mph、408feetでホームランにした。
Troutは変化球を得意とするバッターとしてよく知られている。2018シーズンにおいて3本の本塁打しか打たれなかったChaz Roeのスライダーのうち、もちろん1本はTroutによるものである。

カーブボール
.460 — J.D. Martinez, Red Sox
.458 — Justin Upton, Angels
.435 — Trout, Angels
.427 — Joe Panik, Giants
.423 — Lorenzo Cain, Brewers 
MLB average: .267

JD Martinezはair ballの打ち方を極めたように見え、このことはRed soxでの華やかなデビューを可能にした。彼のALCS game 5でのVelanderのカーブをホームランにしたことは、ワールドチャンピオン達成を後押しした。
Troutは球界一のローボールヒッターであり、Gerrit Coleのカーブでさえもホームランにしている。

チェンジアップ・スプリット
.483 — Nelson Cruz, Twins
.478 — Trout, Angels
.460 — Ronald Acuna Jr., Braves
.424 — Justin Turner, Dodgers 
.411 — Tommy Pham, Rays and Anthony Rendon, Nationals
MLB average: .279

Cruzのパワーは、全方向及び全球種に対応する。チェンジアップ・スプリットの本塁打数は8本であり、唯一Martinezのみがこれを上回る。
Acunaはデビューシーズンで、彼が単にファストボールヒッター以上であることを証明した。
Troutがチェンジアップに対する長打率5割を下回ったのは、7シーズン中1度だけである。

当然といえば当然なのか、変化球の方がファストボールよりかなり打つことが難しいようだ(或いは長打にするのが難しいか。)xwOBAでは概ね0.8割の差がある。
特筆すべきは、変化球の全球種でランクインしているTroutだろう。全ての変化球は(実は速球さえも)落ちるわけであり、下がるもの・低いものに対する動体視力及び体の動かし方がずば抜けていいのがTroutなんだろう。ただ、私のイメージでは決して高めの4シームに弱いというイメージもなく、ファストボールにも強い一方、変化球をより得意としている無欠のバッターといえる。
無欠といえば、4シームで2位にランクインしつつ、カットボール・スライダーでも4位にランクインしているBettsもそうだろう。彼は本当にバットに当てることが上手く、動体視力がやはり並外れている印象である。その上で狙い球には強打して遠くにもとばす。翌シーズンは二番になるらしいが、今シーズンと同じ活躍をまた見たい。
全ての球種でトップのxwOBAは2シームに対するKhris Davisである。4年連続で打率.247を記録したことでも有名だが(コンタクトは下手というイメージも同時についているだろうが)、いわゆる揺れるファストボールにここまで圧倒的な強さを示していることは、私は翌シーズンの更なる飛躍を想像している。
その理由は、フライボール重視からHard hit率にトレンドが移っていく中、Hard hitでもゴロならアウトにできるということで、2シームの割合が増えるのではないかと予測しているからである。その2シームに対し強みがある彼の打撃はさらに覚醒する気がしてならない。バレル数(理想的な打球速度と角度)も確か1~2位だったと思う。



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